日本における失明原因の第1位(20.8%)である緑内障は、視神経が障害され、見えない場所が出現したり、見える範囲(視野)が狭くなってきたりする病気です。初期から中期にかけては視力が良く、両眼で補正してみるので気付くのが遅れやすく、気付いた時には既に視野が狭くなっていることも少なくありません。
茶目(虹彩)の付け根にある毛様体という組織から、眼の中を循環する房水が作られています。正常の眼球は、9mmHg~21mmHgという眼の圧力(眼圧)でその形状を維持されています。房水の出口が目詰まりし、眼圧が上昇することで、視神経がダメージを受けて萎縮してしまいます。日本人には、眼圧が正常範囲内であっても視神経がダメージを受ける、正常眼圧緑内障が多いとされています。現在では、その病態は眼圧だけではなく、視神経を中心として血流が悪くなる循環障害、神経栄養の欠乏など様々な原因が複合的に生じると考えられています。
緑内障は40歳以上の成人の約20人に1人に発症する、頻度の高い病気です。一度障害を受けた視神経は再生することが難しいため、進行した緑内障は失明の危険さえ伴う非常に怖い病気と言われています。緑内障もやはり早期発見、早期治療が非常に大切なので、40歳になったら、一度眼科で検査をお受けになるよう、お勧めいたします。
問診・視診後に、下記のような検査を行うのが一般的です。
最初に、薬物(点眼薬)により眼圧を下げる治療が行われます。点眼薬には、「房水の産生を減らす薬」と「房水の流出を促進させる薬」があります。眼圧が下がりにくい場合には、点眼薬を2~3種類併用することもあります。薬で十分眼圧が下がらないようなケースでは、レーザー治療や手術によって房水がよく流れるようにします。