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近視進行予防の低濃度アトロピン点眼について

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こどもの近視が進まないようにすることは、昔から親御さんにとって切実な望みです。これまでにも色々な研究がなされ報告されています。近年、アトロピンという目薬を薄めて毎日点眼すれば、近視が進みづらくなったという報告がなされ、注目を集めています。
当院では、近視進行予防のための低濃度アトロピンを処方しております。

★低濃度アトロピンとは?

近視の進行を抑制する効果があるとされる目薬です。近視を治す目的ではありません。

★治療の対象は?

学童期のお子様、6~12歳くらいまで。
(近視は高校生くらいまで進行しますので、12歳を過ぎたお子様でもご希望があればご相談ください。軽度~中等度近視(-6D)程度の方。既に眼鏡をかけている場合も対象になります。

★どのような治療ですか?

1日1回寝る前に点眼します。

近視の原因

近視の原因には、遺伝的な要因と環境的な要因が関係するとされています。
近視を引き起こす主な環境要因としては、長時間の勉強、読書、ゲームなどの近見作業(近くにピントをあわせること)があげられます。近視を予防するには、眼に負担のかからない生活を送ることが重要です。

低濃度アトロピン点眼の効果について

シンガポール国立眼科センターにおける臨床研究の論文(Chia Aら、2012年)で、低濃度アトロピン点眼群(0.01%)は、プラセボ群(偽薬による対照群)に比較し、約60%の近視抑制効果が得られた報告されました。アトロピンの近視抑制の効果は、眼軸長の進展を抑制、つまり眼球が大きくなるのを抑える効果によると考えられています。
現在、日本でも7大学(旭川医科大学、大阪大学、川崎医科大学、京都府立医科大学、慶応大学、筑波大学、日本医科大学)にて臨床研究が始まりました。

アトロピン1%は1960年から、すでに近視治療用に使用されていますが、副作用として瞳が開き続けることにより、まぶしかったり、見づらくなったりと副作用を起こします。100倍に薄めた低濃度アトロピン0.01%は、近視の進行スピードを効果的に抑えると同時に、低濃度である分、副作用も軽微であると報告されています。

低濃度アトロピン点眼治療についてご興味のある方は、医師またはスタッフにご相談ください。